【宮崎】奇天烈石仏群 高鍋大師

宮崎県の中部、のどかな海に面した高鍋町。

小高い見晴らしの良い丘の上に位置するのが高鍋大使である。

常人の想像力ではまず到達不可能な神の領域に達しているであろう石仏が、ところ狭しと点在している。

各石像の主張が強すぎて、ひとつひとつを調べる気にすらなれず、細かい説明は割愛するが
究極の振り切った芸術ともいうべき奇天烈空間だった。
見る人によっては、中二の落書きレベルと見過ごすかもしれないし、巡り巡ってピカソのように芸術の極みだと思慮深く受け入れるかもしれない。

筆者の場合はもちろん後者。
まさにそう、海外の有名美術館を訪れているような、そんな気すらしてしまうほど。

この奇想天外な芸術劇場をつくったのは、『岩岡保吉翁』という高鍋町に住む精米業を営む人であった。

89才でこの世を去るまでにおよそ700体の石像を作り続けていたそう。
本格的に作り始めてのは、40才を過ぎてからだそうで、その創作意欲たるや。
人間、幾つになっても遅いことはないと学ばせられる。

大きいもので、6〜7メートルほどの高さがある。
それが複数体あるので、見応えはすごい。

ベース型の顔の土台に太めのたれ眉とカステラのような凛々しい鼻、基本的な顔のパーツはほぼ同じ。

と思いきや、岩岡先生の着想はそんなチンケな予想の遥か上空を飛んでいた。
80を超えてからの作品もチラホラ。あっぱれという他ない。

大きい像だけでなく、足元にはバーゲンセールのように小さな像がゴロゴロ散らばっている。
神々や歴史上の人物を描いたものなど、ユーモアが爆発している。

宮崎に行った際は、ぜひ訪れてほしい必見の場所だ。
ちなみに見学は無料。

宮崎県児湯郡高鍋町大字持田

【福岡】極薄 浮羽の袋田不動尊 45仏目

久留米から横に帯状に広がる耳納連山のふもと。

林道を少し入っていったところにある山岳信仰の霊場。

このアイコンとなっているのが、この巨大な不動尊である。

10メートルほどとお不動さまの中では文句なしの大きさなのだが、それを全く感じさせない草食系というか、俺はここにいるぞという主張のなさ。

高校の体育祭で飾られる応援合戦のパネルのような懐かしさすら感じさせてくれる。

それを裏付ける、納得の薄さ。
薄いことに価値を見出す世界であれば、100点の出来栄え。

よく見てみると、突っ込みどころも満載。

不動明王の光背の炎がしっかりフレーム枠内に収まってロケットの先端のようになっていることや隆起を感じない胸板、相撲取りのような髪型に、異様に小さな手、全然怖くない顔などあげればキリがない。

それ全部ひっくるめて、なんとも可愛らしく、愛くるしいお不動さんになっている。

つくられた趣旨とは違うと思うが、これからもみる人に癒しと安らぎを与え続けてほしい。

 

福岡県うきは市吉井町福益1729

【長崎】生月島の大魚籃観音 44仏目

長崎県平戸市、その先端に生月島がある。
平戸から生月大橋を車で渡って島へ入ることができる。

ここは捕鯨と隠れキリシタンで有名な島。
島内にある博物館「島の館」に行くとそのあたりの歴史を深く学べることができる。

そんな生月島で目指すのは、島を見守る大魚籃観音。
この像は地元出身で1980年に農林水産大臣となった金子岩三が建立したと言われている。
魚籃観音にはあまりお目にかかることがない上に、この大きさは珍しい。

ぬっと住宅の間から見えるその姿は巨神兵のようだ。

こちらが正面像。座像っぽく見えるが半身像となっている。

誕生してから40年ほどの月日が経っており、正面からみると劣化が進んできているのがわかる。

パーツを組み合わせて作ったあとがわかる。

なんとか島のシンボルとして居座り続けてほしいので、金子岩三財団から改修のお金がでてほしいなと思う。もしくは、島の人たちによるクラウドファンディングが立ち上がれば迷わず支援したい。

ちなみに台座の内部に入ることもできる。

胎内には10分の1のサイズの生月魚籃観音が鎮座している。

お供え物の果物が美味しそうだった。

大仏等級

平幕(10~19m)
大仏の高さ:18m
素材:ブロンズ
重さ:150トン

長崎県平戸市生月町山田免570-1

【愛知】やっぱり頭は緑色 普光寺 43仏目

名古屋市内に位置する普光寺
夏のギラギラした太陽の下を名鉄「尼ケ坂駅」から歩いて向かった。
創建は、天正5年に儀存和尚により建立。
隣には神社が経営するゼンヌ幼稚園があり幼児たちの明るい声が聞こえてくる。

ここに鎮座するのは通称「北大佛」と呼ばれる緑パンチの大仏さま。

高さは7.235mと大したことはないが、カラーリングが個性的。
そのあふれる個性は、寺の外からも確認できる。

入場料などはかからないので、気になる人は中に入ってゆっくり眺めてほしい。

こちら正面。
全身をリメイクした面影があり、不自然な安っぽい色に仕上がっていた。
以前はもっと年季の入った10円玉のような色合いでそっちのほうがありがたみがあっただけに残念だ。

顔はちょっとスケキヨのようだ。

目の前には瞑想にふける如意輪観音の像もある。

願いを叶えてくれるそうなので、お忘れなく。

愛知県名古屋市北区大杉3-12-8

【北海道】安藤忠雄が開いた新境地 頭大仏 42仏目

大仏×デザインの可能性

新しい境地を切り開いた真駒内滝野霊園。
安藤忠雄がデザインしたとあって知名度は高い。

入り口には数十体のモアイたちが待ち受ける。

九州宮崎にもモアイ像はいる。海辺に面したところにいるのでよりそちらのモアイのほうがモアイっぽいのでここに関しては宮崎県に軍配ありというところか。
ちなみに、マイナーどころだと福岡の中間市の駅前にもモアイはいる。

師曰く、「これほど広大なランドスケープは初めて。新しい大仏の境地を切り開いた」的なことを言っていたそうな。

確かに今まで見てきた大仏がある雰囲気とは一線を画す雰囲気を感じずにいられない。
この日は曇り空で、時折ぶ厚い雲の隙間から太陽の光が差し込むという天候。
春先だが通りぬける風はまだまだ冷たい。

さて、いよいよ大仏との対面の瞬間。

ひょっこりと、頭先だけが見えているのだが、背景の山々の一部のように風景に溶け込んでいて魅了された。
安藤忠雄の凄さの片鱗をみた。おそるべし。

まっすぐ進むと長方形の水場があり、左右からぐるっと回って大仏に近づいていく。

この先にうっすら膝の部分が見えている。
チラ見せの演出に期待が高まる。

そのまま突き進んでいくといよいよご対面

おおっ

思ったより大きさはないが、大地に根を張るような重厚感。

洗練された美を感じる。

 

周りを囲ってあることで、秘密基地感が出ていて、これも良い。

ウルトラホークやサンダーバードが出発するあの基地の感じ。

思わず、少年時代を回想してしまった。

大仏さんの周りはぐるっと360度歩くことができる。

後ろ姿は意外と前のめり。
これも悪くない。

大仏をぐるっと円形に囲むことで生まれるこの斬新さ。
本物を見るまではいかがなものだろうかと思わないこともなかったが、実に魅力的な空間だった。

雪の降る頃、星空がきれいな頃、様々なシチュエーションで見るとまた違った景色を見せてくれるに違いない。
雪化粧をした姿とか、素晴らしいに違いない。

帰り際、大仏を囲むサークル上では、10数人のスタッフが大仏を囲む円形部分で一心不乱に作業をしていた。

地元のシルバー人材センターから赴いたシルバー戦闘員だろうか。

北海道の美しきラベンダー畑の影には、この人たちの努力があってこそ、なのだ。
隅々まで管理が行き届いていることに拍手を送りたい。

 

大仏等級

高さ13.5m
総重量1,500トン

真駒内滝野霊園
〒005-0862 札幌市南区滝野2番地

【北海道】日本一長い札幌涅槃像 41仏目

北の大地北海道。

 

北海道を代表する洞爺湖・支笏湖を横目に453号を札幌に向けてひた走る。その道すがらにあるのは、北の大地に横たわる黄金の涅槃像。佛願寺大涅槃聖堂という寺院のシンボルと化している。

 

この涅槃像の出身は函館。
恵山モンテローザという温泉施設のシンボルとして存在していたが、施設の併設に伴い長い間放置&売りに出されたそう。
そのことを、新聞記事で涅槃像の存在を知り、引き取るために交渉。
見事、引き取ることが決まったが、課題は函館から200キロ以上の距離をどう運ぶかが課題に。
結果、涅槃像をぶつ切り(200パーツほど)に分けて運び、現地で組み立てたそう。
組み立て期間は4ヶ月、恐るべき執念だ。

 

さて、こちらの佛願寺、建物自体も新しく清潔感がある。
御朱印をもらえるので収集マニアは必見。
ちょっとしたカフェとかも併設されている。

 

特段お金もいらず、涅槃像に対面することが可能だ。
だが建物の上にあるため、触ったりほおずりしたりすることはできない。

大きさは45mと日本で最も長い。
ブロンズで長さ世界一の涅槃像と言われている福岡南蔵院の涅槃像が41mなので、確かに長い。

長いが質量が軽そうでどこか重量感に欠ける印象もあるが、それは心にそっと閉まっておこう。

ちなみに、晴れの日は反射している様子を見ることができると寺院スタッフの方が教えてくれた。

こんな感じ。

 

同じタイミングで仏像を見に来ていた4人組の女子グループは感嘆の声をあげていたので見てみる。

う〜ん、、なるほど

【箸休め】登別の個性豊かな鬼たち

北海道は登別温泉。誰もが一度は耳にしたことがあるのではないか。
それくらい有名な温泉地である。

地獄谷と呼ばれる火口跡があることから、鬼がこの地域のモチーフになったということである。

火口のスケールの大きさは、九州の雲仙や別府とは比較にならないほどの迫力。冬の雪化粧時期に訪れるのも風情があってよさそうだ。

【大分】40仏目 鬼門ならぬ奇門!合掌門

大分県の有名温泉地の由布市にあるユニークさ満開の奇門が『合掌門』である

この合掌門は、正雲寺というお寺のシンボル的玄関だ。

奇妙な造形に心踊らせながら中に入る。
ちょうど女性住職が、にこにこと笑顔で迎え入れてくれた。

ここは以前は善徳院というお寺だったが廃寺となりボロボロとなっていたそう。

それを現在の住職が引き継ぎ改装し、現在のような白塗りのお寺に仕上がった、というわけである。

シンボルの合掌門が善徳院の名残となっているが、女性住職もあの門を作った前住職の意図はわからないそうだ。

本山は1552年創建、福島の会津若松にあり上杉謙信ゆかりの寺のいわれがあるそう。
改装の際には本山からもおじさんたちが手伝いにやってきたらしい。

寺院内はステンドグラスが装飾されている。
2017年12月頃にボランティアの方など交えてすベて手作りで作り上げたそう。
女性住職だからこそできる所業、おっさん住職には少しハードルが高いだろう。

もともと、寺は地域住民の寄り集まる開かれた場でもあったが時代の変化とともに住民との距離は離れていった。
ここは寺を地域に開くという思いが強く、地域の人たちの憩いの場にもなっている。
院内の装飾など温かみを感じれる場所だ。
ゆえに合掌門とのギャップも感じるがそれはそれでありだと思う。

月一で写経なども行なっているそうで、一度参加してみたい。

これは境内にある由布大観音18メートル(台座込み)である。
この寺の第2のシンボル的な存在となっている。

寺の面前には由布岳と鶴見岳がそびえる。
5年くらい前に登ったことがあるがスリリングな鎖場にハラハラしたのを覚えている。
良い山だ。

内側から見た合掌門。
抜苦与楽が強調されているが面前の掘っ建て小屋はかなり年季が入ってボロボロだ。
汚れも溜まっているので、ケルヒャーで洗浄したら気持ちいいだろうな。

境内から一歩外に出てみると田舎風景に合掌門と馬頭観音像が溶け込む珍景色を望める。
落ち着いたシックな黄色は嫌味がない。

馬頭観音さまは10メートル近い大きさ。

この巨大さはあまり見たことはない。
巨大化すると、他の像に比べ手数が多い分コスト的にも負担が増すだろう。
けど、30メートル規模の馬頭観音を一度はこの目で拝んでみたい。

前身の善徳院と比べると、奇抜さはなくなりフェミニンな空気を纏う場所へと変貌していたが、
来るものを迎え入れる偉大な門としての存在感に変わりはなかった。

これからも多くの悩める人たちを迎え入れてくれることだろう。

分県由布市挾間町朴木1027

【大分】日本一の不動明王 39仏目

周囲をぐるっと小高い山に囲まれた天然テーマパーク
ここは谷底にある一心寺という寺である。

場所は大分市だが、人里離れたところで車でないと結構キツイ。

まあここだけ特別というわけでなく、アクセスが悪いということはよくあることだ。

朝も早かった影響か、周りに人っ子一人見当たらない。

小高い山をのぼり、上からこの景色を眺めた時は、小さな共和国みたいな感じで心が踊った。

シンボルは高さ20メートルの不動明王。

不動明王としては日本一の大きさを誇っている。
確かに今まで見てきた不動さまの中ではベストな存在感だ。

我ここにあり!と言わんばかりの主張がすごい。

近くまでよって見る。不動サマの朱色と青空の感じは悪くない。

そのまま共和国内へ下っていく。
先ほどの不動明王が小高い丘の上に立っていることがわかる。

境内を流れる川は透き通っていてテンションが上がる。

何を隠そう、仏像と同じくらい、清流がたまらなく好きなのである。
この川、1月には寒行するそうでホークスの柳田選手も行ったそう
それもそのはず、ここの住職はソフトバンクホークスの今宮選手の実兄なのである。

と、そんなことはまあいいのだ。
話を元に戻そう。

共和国内は仏像だけではない。

そのひとつに住職の手作り感満載の武将みくじがある。
引いてみなくては損、ということでやってみた。ちなみに結果は本多忠勝。

食堂らしき空間もあったが果たして稼働しているのやらという感じだった
近くには17メートルの薬師観音さまや6メートルの金の涅槃像も。

不動明王と比べると印象は薄いが、まあなんだか楽しげだ。

オススメの時期は春。
山桜が綺麗に咲き誇る桃源郷となるようだ。

何かいろいろあるので小さな子どもを連れて来てみるのもおすすめだ。

【大仏等級】

高さ20メートル
1938年開眼

〒870-1163

大分県大分市廻栖野 大分県大分市大字廻栖野塚野1305