【石川】B級マニア必見のハニベ巌窟院 29仏目

ハニベ巌窟院

石川には興味深い仏像がいくつかあるのだが、そんな石川の仏閣シーンでひときわ異彩を放つのがここハニベ巌窟院である。

加賀観音のお隣の町小松市にそれはある。

小松というと、 建設機械のビックファクトリー「KOMATSU」である。

最寄りはJRの小松駅。ここから7キロ弱あるので徒歩ではやや無理がある。バスもあるが、なにぶん本数が少ないので苦労すると思う。もちろんレンタサイクルもない。やはりレンタカーが無難である。

ということで今回もレンタカー。
しばらく進むと突如、興奮必須の光景が目の前に出現した。

えっこんなとこにと驚くなかれ。
ごく自然に田舎景色に溶け込んでいるのだが、実に奇妙である。

院に到着すると巌窟院のアイキャッチとなる半身の大仏が出迎えてくれる。
半身というよりはほぼ仏頭のみという方が適切であろう。

 

大仏が出てきそうな予感もない田舎で突如この顔が現れるのだからそのインパクトはすごい。高さは15メートルとたいしたことはないのだが、その容姿は惚れ惚れするものがある。

右手には売店があり、入場口に近づくとのそのそと入場料を徴収しにスタッフがやってくる。
お世辞にも愛想がいいとは言えない。
愛想というのはとても大事だ。スタッフの愛想がいいと、輪をかけてその場所への思い出がいいものになるし人に勧めたくもなる。
がその反面、高揚したいい気分をスタッフの愛想ひとつでぶち壊しかねないもろ刃のつるぎとなる。人間的に向き不向きもあるので、表に立つ人選は重要と言っていいだろう。

と、そんなことはまあいいのだ。
話を元に戻そう。

院の名称とあるハニベとは、埴輪を作る人のことで、この院を作り上げた都賀田勇馬という人はその世界では有名だったそうである。

入場するや否や、癖になりそうなテンポを刻む館内のアナウンスで都賀田勇馬氏のことにも触れられるのだが、その時は都賀田勇馬と言われている。そう、ここはひとつの王国なのだという強烈なメッセージと受け取った。

内部には大量のこけしのような像が並べられている。

何体あるか数えてみようと思ったがヤメた。絶対無理。

メインの仏頭大仏の隣にも気になる大仏が。

アメリカンフットボール選手ばりの肩幅。
胸板も肉々しい。

大仏を出ると山道を登り巌窟院へと誘導される。

導きの石碑に刻まれた巌窟院の文字が、山に口2つで初めて見た。

登りきると最初に辿り着くのが阿弥陀洞である。

ここは石切場の跡地だそうで、なかなか重々しい空気が円満している。

設置してあるのは弘法大師や阿弥陀如来など。

阿弥陀洞を出ると、軽い博物館のような建物を通って巌窟院へと導かれる。

で、長らくお待たせ、いよいよここからが巌窟院突入となる。

この薄気味悪い入口が異世界へと誘ってくれる。

洞内はいくつかのテーマに分かれて様々な像が置かれている。

まず最初に出迎えてくれるのはお釈迦さまの物語。

ひとりだと若干薄気味悪さはあるがまだまとも。

インド彫刻コーナーではインドの神々が紹介される。

最初に紹介した通り都賀田勇馬氏のベースは埴輪師であるが守備範囲は実に広い。

さしづめ埴輪界のイチローというところ。

シーマン?

牛頭(ゴズ)が目印、地獄門からはいよいよグロテスクゾーンに突入。

この辺から潮目が変わってくる。もはやお化け屋敷。

鬼の食卓に始まり、人を斬り刻むコックや人をたぶらかした罪など、カロリー高めの重々しい作品が次から次へと現れる。

唐揚げ、春巻き、コロッケ、とんかつと食卓に揚げ物レパートリーが並んでくると、もう胃は受け付けなくなる。この歪んだ空間から一刻も早く出たいとしか思えなくなってくるのだ。

都賀田勇馬というおじさんはこれらの作品をどんな顔して作っていたんだろうか。

地獄門を抜けると、閻魔さんや釈迦如来などの像が並ぶがお腹一杯でほぼ素通りという始末。

巌窟院を抜けると山の頂上へ誘導されるのだが、たいしたことはないので行かなくてもいい気はする。

ちなみに後日行った金沢市内にある金沢神社の境内で都賀田勇馬氏の作品を見た。

こんな神社に置かれるくらいだからよっぽどすごい人だったんだろうと思う。

【石川】加賀百万石を象徴する巨大仏 加賀大観音 28仏目

石川県屈指の巨大仏像が存在するのが100万石の加賀市である。

仏像界においてこの中部エリアというのは実に興味深い地域である。
中でもこの石川県は一目置くべき県である。
その石川筆頭の大きさを誇るのが加賀大観音である。

新大阪からJR西日本サンダーバードに乗車しおよそ2時間半。
その大仏のお膝元は「加賀温泉駅」

到着は夜中だったのでわからなかったが日が昇ってみると
ででーんと登場。
駅からの眺めはなかなか爽快である。

駅の改修工事かなにやらで右側のクレーンが忙しなかった。
大仏が73メートルもありすでに大きいのだが、やや地形もこんもりした高い場所にあるので遠方からだと割り増しで大きく見える。

さて、この場所だが駅からの徒歩では実に微妙な遠さがあるので徒歩で行く際には頑張っていただきたい。
公式パンフによるとタクシー10分で、徒歩は12分とある。

確かな矛盾を感じるのは私だけだろうか。

まあいい。

筆者は旅先の味方「ニコニコレンタカー」を活用することが多いのだが
今回もまたしかり。
小松のハニベ巌窟院へも行けるのでオススメの移動手段だ。
ちなみに加賀温泉駅から徒歩5分くらいの場所にある。

話を元に戻そう。

この観音像が安置してあるのは「天空聖陵 加賀の郷」という場所である。
郷というだけあって、観音様の他にも「梵鐘」やら「五重塔」などがある。

寺院にはこじんまりした駐車場があるのでそこに停める。無料だ。
すぐに寺院の正面なので、こんな具合にどどんと現れる。
あっちなみに拝観料500円が必要ね。

加賀大観音は大きさ73メートル

日本で5番目の高さを誇る。

門番の老婆がこう教えてくれた。
「あの抱いている赤ん坊の大きさは16メートルで、奈良の大仏さんより大きいんですよ」

何かとライバル視されてしまう奈良の大仏や鎌倉の大仏も大変だ。

全身金色のピッカピカ。
ケンシロウのような盛り上がった胸筋が実にたくましい。

顔立ちはふっくらというより、親知らずを抜いた後のよう。
下からみると重力に負けて垂れ下がっているようにも見える。

背後に回ってみる。

後ろにはワイヤーが1本あるが、落雷による衝撃を逃がすためとか。
スタッフの方は大仏さまが前のめりに倒れるのを阻止するためということを言っていた。

つなぎ先はこれ。
意味あるのか。。

このような設計だったのかはわからないが、確かにやや斜めだ。

実はこの場所、もともとユートピア加賀の郷というテーマパークで、ホテルあり温泉ありジェットコースターありという場所だった。

土木作業員から「関西土地建物」社長にまで上り詰めた「関西のビル王」嶋中利男氏が1987年に280億円をかけて建設した。

だが、バブルが崩壊し冷え込んだ時代に突入すると2000年に閉鎖に追い込まれる。
その後「密教禅大本山豊星寺」となるもまた閉鎖し、長いこと廃墟に近い状況で存在していたそうだ。その後「観音院加賀寺」となり、2016年からは「天空聖陵 加賀の郷」として名前も原点回帰でリニューアルしたそう。

境内に天空庵というカフェができるなど進化。
ちなみにここのイチオシメニューは千手観音ごぼ天うどんらしい。
付けまつ毛ばりの躍動感。

注文はコーヒー250円。

リーズナブルな価格と店内で大仏を見ながら休憩できるという贅沢な空間。

この手の施設、休憩スペースがあるところも多いが、無造作に椅子とテーブルが設置してあるだけで休むには程遠い空間が実に多いことが気になっていた。

なのでこの空間にはとても満足。

境内の施設

ここでこの寺院を彩る様々なオブジェをご紹介しよう。

加賀三十三間堂

1188体の千手観音像がズラリ整列している空間(写真撮影NG
センターの千手観音を入れると1189体となる。

梵鐘佛堂

直径5m、全高10m、重さ350トンで世界一の大きさを誇る。
どうせならゴーンの鐘突き棒も金ピカにしたらいいのに。

五重塔

全高17mの金ピカの塔。
エステのようなヒーリングミュージックが永遠流れているが
空間にはミスマッチが否めない。

釈迦八相・シルクロード

昔はもっと豪華絢爛だったそうだが、今は極めて質素。
羊や馬のミニミュアの完成度は高かった。

境内でもらった案内チラシ
タイトルがイラストのギャップがなんとも言えない味を出している。

拝観料  500円
営業時間(年中無休)
09:00~18:00 (夏期)
09:00~16:30 (冬期)

やはり70メートルを超える大きさを実感するには遠景から見た時だろう。
2〜3キロ離れた場所からもよく見える。

ちなみにこれだけ目立つ大仏さんでありながらも地元の反応はやや薄い。

タクシー運転手は「ああっあの大仏さんね、数年前に運営会社が潰れて今は廃墟になってるよ」と語っており、未だに廃墟だと思ってるようだった。

大仏等級

大関(60M~99M
大仏の高さ73メートル
ブロンズ

922-0423
石川県加賀市作見町観音山1-1